流産や早産は、産科という現場では、起こる確率の高い、珍しくないことです。予防や治療という面でも、難しいものがあります。正しい知識を持ち、次のステップに臨みましょう。

流産について

●早期流産 … 妊娠12週未満の流産のこと 
●後期流産 … 妊娠12〜21週の流産のこと

原因

受精卵、胎芽、胎児の染色体異常が最大の原因です。

受精卵 … 卵子と精子が受精のあと分割を繰り返しながら発育

胎芽 … 外形がまだヒト胎児としての特徴を明確に示さない妊娠10週未満

胎児 … ヒトの外観を示す妊娠10週以後

超音波検査により、子宮の中の様子がわかります。
正常な経過の場合、
妊娠5−6週で胎嚢(いわゆる袋)が認められ、
その後その中に胎芽、胎児が認められ、
心臓の動きが確認されます。
しかし、中には胎嚢のみで胎児が認められない場合や、
週数が過ぎても胎嚢の大きさがかわらなかったり、
胎児の心拍を確認できないケースがあります。
この場合、受精卵が正常に発育しなかったと判断され、
流産という診断となります。

治療 様子をみるというような理由でそのままにしておくと、
かなり強い腹痛と共に大出血をきたします。
ですから、流産という診断が確定したらすぐに
子宮内容除去術という手術を受けることとなります。
具体的には 全身麻酔で15分から20分で終わり、麻酔がさめれば帰宅できます。
個人差はありますが平均3時間前後です。
次の妊娠 一般的にこの流産はこの受精卵の問題ですから
次も流産するとは限りません。
次の妊娠も1〜2回生理の後ならば問題ありません。
もしすぐに妊娠したとしても前回の流産がこの妊娠に
影響を与えることはまずありません。
習慣流産 ただ、中には3回以上流産を繰り返すことがあります。
この場合は習慣流産といい、詳しい検査と専門的な治療が必要となります。
子宮の形とか染色体異常によるものと診断された時には、
それぞれに応じた専門の病院をご紹介いたします。

早産について

妊娠22週から37週未満の間におこる分娩のことをいいます。

原因
  • 妊娠中毒症・心臓病や腎臓病や糖尿病など
  • 子宮頚管無力症
  • 子宮筋腫などの子宮に問題があるときなど
  • 前置胎盤・常位胎盤早期剥離
  • 逆子・羊水過多症など
症状
  • 頻繁におこるお腹の張り、
    不規則から規則的にくるようになるお腹の張り
  • 出血
  • 破水
治療 高次医療施設を紹介いたします。
(兵庫県立こども病院、神戸大学病院など)
安静にして一日でも長く赤ちゃんが子宮の中で育つように
経過を観察する場合や、状態によっては、
そのままお産になることもあります。
院長

院長よりひとこと

【流産】流産という結果は人によっては、辛い経験となってしまいます。原因はあくまでも、受精卵・胎芽にあるものが多く、お母さんには責任はありません。次の妊娠では、正常な経過をたどり、無事出産となるケースがほとんどです。自分を責めることも、「ごめんね、赤ちゃん」と悲嘆にくれる必要もありません。次のステップへ一緒に踏み出しましょう。 【早産】週数によっては、分娩後に赤ちゃんだけ高次病院へ搬送というクリニックもありますが、当院では、母子が離れることは出来るだけ避けたいという考えなので、できるだけ母子ともに受け入れてくれる病院を探して、そちらにお任せする方針です。